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Epiphone les paul modern の abr-1 ブリッジを nashvilleタイプ (GOTOH GE103B-T Nickel) に無加工で換装できた

Epiphone les paul modern の唯一の不満点がabr-1タイプのブリッジ

Epiphone の les paul modern は les paul を現代的なテクノロジーで刷新したらどうなるかを具現化したもので、演奏性が向上し、 出音のバリエーションが増えているなど素晴らしいギターである。 が、不満点が一つだけあり、古い設計のabr-1タイプのブリッジが搭載されている。

les paul タイプのギターには、abr-1タイプという古いタイプのブリッジと、nashvilleタイプという新しいタイプのブリッジの二種類のうちどちらかが搭載されている。 abr-1は古いブリッジで、サドルの可動範囲が狭いという欠点があり、特にG弦でサドルが十分にブリッジ側に移動できないという問題がある。 abr-1のG弦サドルの向きを逆にすることでこの問題を解決できるが、あくまでもwork around的な方法である。 また、abr-1にはサドルの脱落を防ぐためのワイヤーがあり、これが無駄な共振を生むことがあるというのも問題点として挙げられる。 これらのabr-1の問題点を解決したのが nashville ブリッジで、サドルの可動範囲の拡大と、サドル固定ワイヤーの除去が主な改善点である。

Epiphone の les paul modern に搭載されているabr-1タイプのブリッジを、nashvilleタイプに換装すれば唯一の欠点が解消される。なお、gibsonのles paul modernでは当然のことながらnashvilleタイプのブリッジが搭載されている。

どのnashville ブリッジが Epiphone les paul modern に合うのか?

信頼と実績のあるGOTOHのブリッジの中から換装候補を選定した。 まず、les paul に合うタイプ(TOMタイプ)でGOTOH製のnashvilleタイプのブリッジはスタッドの構造の違いで二種類ある。

  1. GE-103B  スタッドを直接ボディにねじ込むタイプ
  2. GE-103B-T  アンカーをボディに打ち込んで、そこにスタッドをねじ込むタイプ

Epiphoneのles paul modernは、アンカーがボディに打ち込んであるタイプなので、適合するのはGE-103B-Tの方である。

また、GE103B-Tは表面のメッキ塗装の違いでさらに5種類のタイプがある。

Epiphoneのles paul modernは、ハードウェア塗装がニッケルなので、最終的に選定されたのは

GE103B-T Nickel

であった。間違ってChromeを選んでしまうと、ブリッジ部分だけ白っぽい色味になってしまうので注意が必要である。

換装作業

  1. 弦を緩める
  2. テイルピースのねじを緩めて除去する
  3. ブリッジを抜き取る
  4. スタッドボルト2本を緩めて抜き取る
  5. 新しいスタッドボルト2本をねじ込む
  6. 新しいブリッジをはめ込む
  7. テイルピースを取り付ける
  8. 弦をチューニングする

換装前と換装後の写真は以下の通り。

換装前 Epiphone LockTone™ Tune-O-Matic™

オクターブチューニングを済ませた後。1~3弦のサドルの向きを反対にしてある。3弦と6弦のサドルの位置がかなりギリギリ。

換装前 Epiphone Epiphone LockTone™ Tune-O-Matic™

換装後 GOTOH GE103B-T Nickel

オクターブチューニングを済ませた後。全サドルの位置にまだまだ余裕がある。

換装後 GOTOH GE103B-T Nickel

なお、テイルピース部分にガウスぼかしをかけているのは、俺のイケメンフェイスが映り込んでいるから。

10分もかからず無加工で換装は完了した。古い弦を外して捨ててしまう場合はテイルピースの除去と取り付け作業は省略可能。また、スタッドボルトも換装せずそのまま流用できるが、ねじ径とピッチがピッタリ合ったので新しいほうを使うことにした。

サドル調整ネジの方向は、abr-1がネック側、nashvilleがブリッジ側を向くのが正しいようなのでそれに従った。この方向の違いによるオクターブ調整のやりやすさの違いについては、nashvilleのほうが優れている。

換装結果

オクターブチューニングのサドル位置に余裕があり、様々な弦に対応できるようになった。また、サドル固定ワイヤーが無くなったので、無駄な共振の可能性も除去できた。オクターブチューニングもやりやすくなって、換装は成功と判断できる。総合的な機能性を求める場合はnashville一択と言って良いだろう。

一点だけ考慮点があり、ブリッジのガタツキの有無は、換装前のEpiphone のabr-1のほうが優れていた。Epiphoneのabr-1はガタツキ防止のためのバネ機構が内蔵されていて、ブリッジのバネがスタッドを噛み込むような構造になっていたため、ガタツキが全くなかった。が、GOTOHのGE103B-Tにはそのような機構がないので、スタッドとブリッジ穴の間に若干の余裕があって、弦を張らない状態でのガタツキはあり、簡単に抜け落ちる。この点だけは換装後に機能低下したと言える。とはいえ、これが演奏時や弦交換時に問題になるかと言えば全くそんなことはない。なお、このガタツキの程度は換装前のスタッドをそのまま使った時と、GE-103B-Tに同梱の新しいスタッドを使った時で差はなかった。

本記事の執筆時のweb上の情報では、nashvilleタイプをabr-1タイプに換装するというものしか見つからず、 逆の換装に関する情報が見つからなかったので、この記事がweb上の情報空間の拡張に少しは寄与すると思われる。

Epiphone へのお願い

LockToneと同様のスタッドロック機構を持ったnashvilleタイプのブリッジを作って下さい。

GOTOHへのお願い

スタッドを噛み込んで固定するバネ機構をGE103B-Tに追加してください。